Live Depot公開収録Live Depot公開収録LOUDNESS 2004/07/15  2000年頃を境に、HR系を聴く様になった。きっかけは、LOUDNESSオリジナルメンバー復活Liveである。R君と呼んでいる友人が居る。高校時代のクラスメートで、Stardust☆RevueのLiveに厭な顔一つせず付き合ってくれる優しい人である。そのR君は中学時代からLOUDNESSの熱烈なファンであった。 「オリジナルメンバー復活Liveなんだけど、つきあってくれない?」  いつも付き合ってくれる友人を断れる筈がない。勿論二つ返事であった。場所は中野サンプラザ、季節は春。私はその初めてのLiveでバックにドラを背負ってドラムソロを軽々とこなす樋口宗孝氏に圧倒されてファンになった。それ以来、私がLOUDNESSのLiveに行く時はいつもR君と一緒である。R君はLOUDNESSのステージであれば日本全国どこへでも行く。世界へでも必ず行くことだろう。因みに来年六月、スウェーデンでのLiveが予定されているが、勿論R君は追いかけるはずである。  LOUDNESSの公開収録の話があったのは、多分2004年春の終わりだったろう。五月末か六月あたまか。そんなところだと思う。FM東京のLive Depotという番組に生出演すると聞いて、平日だろうがR君には関係なさそうだな。と思った。近い日にちに篁の誕生日があったせいもあるが、その前々日にEarthshakerの方も公開録画があり、正直平日の同じ週に二度も早退するというのは、気が引けることではあった。しかし、当選しなければ行けない。チケットがなければ選択の自由もない。それで、一緒に応募した。ファンクラブの抽選と、番組抽選があったようである。抽選結果がそろそろかな…という日、R君からメールが飛んできた。 「今日あたりだよね〜。HPにも出てないし、当選者だけ連絡来るのかな〜?」 「当落は連絡くれるんじゃないかな〜?」  などとメールしていたら、悲愴な内容のものがいきなり飛び込んできた。 「落選!一般枠で頑張るわ!」  その日、友人と書店でぶらぶらしていた私は、メールチェックが若干お留守になっていた。R君から来た以外にも到着していたことに気付き、書きかけの返事を一旦保存して、そのメールを読んだ。 「ファンクラブ内の厳正なる抽選の結果、あなたが当選されました…」  伯母に一人、矢鱈と籤運のいい人がいる。私自身は金銭が関わる場合にはあまり縁がないが、こういうものには比較的縁がある。理由は判らないが、この時、Liveに行けるような不思議な予感があった。多分R君か私のどちらかは当たるのだろうなと想像していたのだが、それが当ったようである。私はすぐさま、転送メールをR君に送った。 「下記の通りです。一般枠でのお申込はお控え下さい→ファンクラブ内の…」  驚きと喜びが見事に融合された返事が一分も経たぬうちに返ってきたのは言うまでもない。  七月十五日は、綺麗に晴れ渡った空がどこまでも続いているように見えた。しかし夏の天気である。会場傍で食事休憩を取ることを計算して、私たちは早めの列車に乗ることに決めていた。携帯で連絡を取り合い、乗る車両を決めて、まもなく合流出来ると思った時である。 R君が乗った電車が、隣の駅で停まったという連絡が入った。  耳を疑ったが、そういえば職場を早退する際に雨がぱらついていた。どうも隣の駅に近いあたりで落雷があり、停電したらしい。隣の駅までは電車で僅か五分。しかしR君と合流出来たのは、実に三十分後のことだった。  合流出来てから十分程遅れて、列車は走り始めた。ゆっくりと。しかしそれも実に空しい願いだったようである。走り始めてほっとした矢先、私が乗車した次の次の駅で、列車は一時間停車することになった。どうやら更に都心に近い地区で、深刻な停電が発生したようである。苛々は募り、R君と私は代替の手段を真剣に検討しはじめた。こういう時のR君は素晴らしい。どんだけお金がかかろうが間に合わせなければという強い信念に裏打ちされているのだ。  列車を降り、タクシーを使って幾つか都心に近い駅に乗りつけることも考慮した。しかし電車の方が先については意味がなくなる。それで駅員に確認に行ったが要領を得ず、そのまま車内に留まることにした。自分の強運を念じつつ、動くのを待った。列車は徐々に動き出した。  上野到着は、到着予定時間をゆうに二時間は超えていたろう。一時間程度でつける筈の道のりを停車しつつ、鈍行で進んだのである。しかしこれで食事休憩の余裕がなくなった。途中のコンビニでパンを購入し、齧りつつ地下鉄の駅に向かった。  目的の駅に到着したのは、集合予定時間の十五分程前だった。駅からの距離が判らなかったので地図を探す。急ぎ足で辿り着いたのは、ぎりぎり五分前というところだった。  階段には、時間を待つ人がいた。慌てて葉書を取り出す。当選してから送られてきた入場券である。そこではたっと気付いた。  記念にコピーしておけば良かった(涙)  会場で時間を待つ間、アンケート用紙が配られた。既にエキサイトしていて、頭は真っ白。何も書くことが思いつけない。ま、採用されたら恥かしいので、適当というか、当たり障りのないことを書いて提出した後で、再び気付いた。  停電のことを書いたら面白かったのに(自爆)  ま、過ぎたことは仕方ない。ので、久しぶりのLiveを楽しむことにした。  会場は、天井がとても高かった。ほぼ中央上空にミラーボールが燦然と輝き、ステージと客席の間は広めにスペースが設けられている。床は板張りでステージは客席より二十センチ程高い。左側にグランドピアノが、ステージ中央にはドラムセットが見えた。パイプ椅子を並べて作られた座席は、大体三つのグループに分かれていた。右列、中央列、左列。その中で入口から程近く、前すぎず、でもちゃんと見える席を選んで着席した。R君はベース、私はドラムが見られればそれで良いのである。  放送開始直前にスタッフが拍手などについて説明をする。ま、ここのところ公開録画に連続して行ってたのでそれはそういうものだろうと一通り練習。  カウントが始まって、ライトがまわりはじめた。三秒前から声に出さずにカウント。音楽とともに番組名がアナウンスされ、ホスト役の大江千里氏が登場。彼が紹介して、メンバーが現れた。LOUDNESS、登場。  四人はいつもと同じ恰好である。二井ちゃん以外の三人は黒タンクトップで二井ちゃんも黒Tシャツ。大江千里氏も黒いシャツでステージは真っ黒である(笑) 簡単な紹介と現在の活動状況及び近況、新発売のシングルCDなどの話をして、初っ端はそのシングル「Crazy Samurai」。  速やかに客席のファンが立上がる。まだ数回しか聴いていないので、ちゃんと憶えていないので「うおっ、予想通りにこれで来たか」と思いつつ、適当に体を動かす。次は同じシングルから「R.I.P」。カメラクルーが客席の前を行ったり来たりしているのが見えた。カメラをぐるんぐるん回転させている。ああ、あの画面見たら気持ち悪くなりそうだな〜と変なことを考える(笑) 「R.I.P」は歌の音程がとても取り難い曲である。いつもそう思うが、歌が巧そうに見えなくてでもやっぱりなんだかんだ言ってうまいんだよな、と改めて二井ちゃんを見る。ちょっとしたMCを交えつつ、ステージが進行。そして次はSession Time。  大江千里氏がピアノを担当して、メンバーと一緒にセッションを行うという企画である。曲は「Rock And Roll」。かのLed Zeppelinの名曲である。元基さんが時々Liveで歌ってくれているから、私には既にお馴染みの大好きな曲。一番好きなヴォーカリストはやっぱり元基さんだけど、二井ちゃんの「Rock And Roll」もとてもいい感じである。余程暇なのだろうか、樋口さんは時折大江千里氏やまー君の方を見てニヤッと笑っている。リズムパターンが忙しい時は演奏に集中するし、力一杯叩くときは歯を食いしばるようにして叩くから顔が仁王様のようでとても怖いのだが、楽な時は良く一緒に演奏している人とアイコンタクトをする癖がある。こういうセッションの時はそういう癖が顕著に出るのである。  セッション終了後は、その内容について大江千里氏と二井ちゃんが熱くまたほのぼのと語っている。その間を利用して樋口さんは自分の後ろにあるクーラー付扇風機に当って涼んでいるし、まー君はピアノの隣の椅子にちょこんと座っている。その笑顔と目があった大江千里氏が「ハードロックには似合わぬちょこんと座った笑顔の可愛い…」などと表している。うん、その笑顔はとてもいいと私も思う。願わくばその笑顔が映されていますように!(と思ったが後日MXTVで放映されたVTRを確認すると、笑顔は映ってはいなかった。さもありなん(涙))  MC終了後は、「LOUDNESS」。この秋発売のセルフカバー・アルバム収録曲である。毎回のようにLiveでは演奏されてきた曲ではあるが、まだこの新しいヴァージョンには慣れることが出来ず、少し苦労している。サビの部分に来るまで曲が判らないというのは、博打しているようなものでかなり怖い。拳を振り上げるタイミングを間違えそうだ。でもこれは実は旧ヴァージョンの方が好きだった。何故かというと、前述の樋口さんの笑顔が見れる確率が一番高い曲だったからである。新ヴァージョンになっての生は初めてだが、曲にうまく乗れなくて焦っていたので、樋口さんの笑顔チェック(ファッションチェックではない(笑))が出来なかった。次のチャンスには是非やりたいものである。  次は同じくセルフカバーから「Rock Shock」。中央最前列のロングヘアのお姉さんが連獅子顔負けの髪を振り乱してヘッドバンキング。何度見てもとても怖い。それに当ったら痛そうである。でもこの曲は好きなんだけどね。  そして演奏後は大江千里氏のピアノのところに集まって、MC。前列はフロントマン二人。ヴォーカルの二井ちゃんとギターのたっかん、後列にリズム隊の二人。ベースのまー君とドラムの樋口さんである。…なんてことだ。メンバーが動かないという素晴らしいチャンスなのに、フロントマンの二人が邪魔になってR君の大好きなまー君と私の見たい樋口さんが、殆ど見えない(涙) 一通り今後の夏以降の予定について語ると、視聴者からのメールやアンケートを読み上げる。これは後刻メンバーから記念品贈呈があった。…やっぱり落雷を書くべきだったか(笑)?  メンバーが退場すると、大江千里氏がLOUDNESSの為に書き上げた「緊急発令」というピアノ曲が演奏され、番組は終了となった。放映はここで終わりだと言われたが、折角集まったファンの為にほんのちょっとしたサービス。聴き慣れてる音楽ではあってもやっぱり嬉しい。思い出の曲「Crazy Night」である。  Liveではかつて毎回のように演奏されていた曲で、再結成後も暫くそうだったが、復活後のオリジナルアルバムが増えるにしたがって、演奏頻度は徐々におちていったようだ。それでもこの曲がZepp Tokyoで演奏された夜、R君が持っていたLOUDNESSの大判タオルを、まるでマントのように肩から掛けて二井ちゃんが歌ってくれたことを忘れることはないだろう。STARDUST☆REVUEやEarthshakerのように当たりはずれのないLiveを期待することは難しいかも知れないが、いつか来る当りは必ず大当たりになる筈である。「だから毎回逃さずに行くのよ」とR君は言う。至言である。